Marketing book

BtoBのマーケティングやってます。マーケティング全般、アドテク、ソーシャル系などを思いのままに書いております。歴史が好きなので、強引に歴史とビジネスを結びつけたりします。たまに日記的に書いたりもします。

島津の退き口にみる「負け方」の大切さ

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フィードフォースでは定期的に社内でLT大会を実施しています。
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第4回目FFLTの時にプレゼンした内容をブログにまとめました。
島津義弘の話です。

戦国時代の猛将「島津義弘」をご存知でしょうか?
薩摩の大名である島津義久の弟で、「鬼島津」と呼ばれた猛将です。

いろいろあって、島津義弘は関が原の戦いに西軍で参戦します。
手勢はわずか1500程度でありながら、島津義弘は関が原の戦いで伝説を作ります。

関ヶ原の戦いでの島津の退き口

みなさまご存知の通り、関が原の戦いは東軍の勝利で終わりますが、
戦闘開始の頃は西軍が優勢でした。しかし、島津義弘石田三成からの再三の攻撃要請にも関わらず動こうとはしませんでした。
そのあたりの経緯はここでは省略します。

島津義弘が動いたのは、東軍の勝利がほぼ確定したころです。
つまり、島津が属する西軍の敗北が決まった頃になります。
東軍の寝返り工作が成功し、西軍最大の軍勢である小早川秀秋の東軍への寝返りが決定打となり形勢が逆転しました。

他の西軍部隊が全滅や撤退する中、島津義弘は何を思ったのか中央突破で退却を始めます。
島津が通るルートは家康の本陣脇を通る非常に危険なルートです。
東軍も勝利が確定していますので、手柄を上げるために西軍に猛烈な攻撃をかけています。
そんな状況の中、島津勢が中央突破を始めたのです。

島津は捨て奸という戦い方で撤退戦を行います。殿(しんがり)に数名の鉄砲隊を配置し彼らは死ぬまで敵の大将を中心に狙撃を行い敵の進軍を止めます。その鉄砲隊が死んだらまた別の数名が残り同じことを繰り返します。とにかく大将を生きて帰らせるための撤退方法です。
この時代は軍のトップや大名が死ねば負けです。

途中で徳川四天王本多忠勝井伊直政を負傷させ、義弘は無事薩摩に戻ります。
薩摩に戻った兵士は数十名だったと言われています。

その後の戦後処理で西軍の大名が減封させられる中、島津だけは本領が安堵されました。
これは奇跡です。東軍の勝利が確定している中、1500名の島津勢が中央突破で東軍を蹴散らしながら堂々と撤退していったのです。
東軍からすれば勝利が確定していたのにもかかわず、最終的に島津の退却を阻止することができませんでした。
島津家が取り潰しにあってもおかしくない状況の中での本領安堵です。

なぜ、本領が安堵されたのか?

もし島津と戦になって、万が一徳川が負けるもしくは攻略に時間がかかることにでもなったら徳川の天下は遠のきます。
この時点では豊臣秀頼も生きているので、情勢は不安定です。徳川は島津と揉めている余裕など無いのです。
もちろん島津の政治工作がうまくいったというのもありますが、大前提として島津の退き口が大きな影響を与えていたのは間違いありません。

義弘がどこまで考えていたかはわかりませんが、「関ヶ原での負け方」がその後に大きな影響を与えたのです。

ビジネスにおいてどうやって「負けるか」について考える

ビジネスを展開する上でサービスを終了することもあります。
その際に「負け方」について考えてみてはどうだろうか?
※サービス終了が負けたというわけではありませんが、特にいい表現も無かったのでそのまま負けという表現を使います。

島津義弘の「負け方」が無ければ幕末の明治維新で薩摩が活躍することもなかったかもしれません。
島津の「負け方」は250年後にまで影響しているのです。

2018年2月にGoodpatchが提供するBaltoというサービスの終了に関する背景を説明した記事が公開されました。
goodpatch.com

撤退の理由をここまで公開するのってほとんど聞いたことがなかったので結構衝撃でした。
社内だけの話にしておくこともできるのに、あえて情報を公開しています。
シェアも多くはてブもたくさんついて、記事を読んだ人も多いかと思います。

社外に公開することで、Goodpatchのビジネスに興味を持った人も働いてみたいと思った人も多かったのではないでしょうか。
公開範囲を社内のみにしていたらそんなことも無かったので、今後に影響を及ぼすいい「負け方」のひとつの事例だと思います。

サービスの「負け」が決まった時に、どうやって負ければ今後にいい影響を与えることができるのか。
もしそんな機会が訪れたら一度考えてみたらいかがでしょうか?